テント村通信アーカイブ



特定秘密保護法を廃案へ!!(2013年12月号掲載)




 特定秘密保護法は10月25日に閣議決定され、このかん与野党間で修正協議が行われてきた。それに対し11月21日には1万人を超える人々が日比谷野音に結集、長蛇の国会請願デモを行った。だがこの『通信』が出るころには、すでに衆院で可決されているかもしれない。しかし12月6日には、再度の大デモンストレーションも計画されている。ようやく反対運動が盛り上がってきた。この稀代の悪法を葬り去るまで、最後まで闘いぬいていこう。


アメリカよりひどい、日本の特定秘密保護法


 特定機密保護法は、立法の最初のプロセスからして反民主主義的なものだった。パブリック・コメントが募集されたが、通常の半分の期間であり、そのとき本法案は公開されてもいなかった。公開されてみれば、同法が守るのは、@防衛、A外交、B特定有害活動(スパイ)、Cテロに関する事項だという。すべての政府機関は恣意的に、5年間の機密を指定可能であり、また30年まで継続できる。会計検査院もこの機関の1つだが、そこで監査結果が機密指定されれば、同法に基づく行政は何も見えなくなる。公務員の秘密を暴露する行為、記者などの取材行為も10年以下の懲役刑だ。


 立法の理由は、「同法がなければアメリカと重要情報を共有できない」からだという。だが外交に関しては「機密」指定が可能だ。米軍情報に関しては、安保条約にともなうMSA秘密保護法と刑事特別法がある。アメリカの機密保護レベルに合わせるというのなら、逆に本法案のひどさが際立つ。


 なぜならアメリカの保護法(大統領令13526号、09年十2月)は、@機密を8類型に整理して恣意的な指定を排除し、A開示による損害の合理的な予期と損害の特定ができることを要求し、B4つの類型をもって機密指定を禁止し、Cまた指定期間も最長25年だ。10年10月、議会で「過剰機密削減法」が制定されてもいる。この日米の差異は、特定機密保護法の際立った反民主主義的な性格と、特別な狙いを示しているようにみえる。


国家の秘密保護とは、恣意的な統治を意味する


 もちろん最大の狙いは安保―外交の問題であろう。71年の「沖縄返還協定」締結に際し、返還費用を日本が肩代わりする密約があった。それを暴露した毎日新聞の西山記者と外務省事務官は、問題を「男と女の関係」にずらすキャンペーンを張られ、社会的に抹殺された。その他に沖縄への核(再)持ち込みと、朝鮮半島への自由出撃の密約があった。アメリカが98年以降、文書公開を始めた際、外務省は1200トンの関連書類を焼却したらしい。結局、日本の政府と官僚機構は「依らしむべし、知らしむべからず」を統治の旨としている。それは戦争に負け、天皇制の存続と安保条約の締結、経済成長を柱に形作られた日本の国家権力のあり方そのものだ。安保―外交の機密保持とは、そのような権力関係を表している。


 他方、同法は実質的には特定有害活動(スパイ)とテロ行為に効力を発することになるかもしれない。あらゆる社会運動や抗議行動がスパイやテロ行為と目され、その情報が収集され秘匿され、権力の恣意に任せて利用されるのである。テロの危険排除の名目で、アラブ系住民の情報収集が行われていたが、それは生活権・労働権を奪う国外退去につながったかもしれない。


秘密保護の裏面は、情報収集による運動抑圧


 私たちは十2月6日のデモをはじめ、特定秘密法案の廃案に向けた行動を強めていく必要がある。このかん野党は政府・自民党との「修正協議」を行い、機密指定の是非をめぐる「第3者委員会」の設定や、機密解除の年限を問題にしてきた。ところがすべて安倍や官僚の言いなりになり、部分的には改悪の後押しさえした。国会請願を超える闘いが必要だろう。私たちテント村は、特に自衛官の身上調査や情報戒厳令に反対し、国家安全保障会議(日本版NSC)との関連で取り組みたい。


 「知る権利」という言葉がある。それは情報公開という、民主主義的な手続きの問題だけではない。知らせないということは、それによって恣意的な権力支配を行うことだ。また秘密裏に行われる情報の収集により言動を抑制し、弾圧を行うのである。運動それ自身と民主主義を守るため、廃案に向けともに闘おう。



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