9月28日、いよいよ東京国体(第68回国民体育大会・スポーツ祭東京)が開会する。
味の素スタジアムで行われる開会式には、例年通り天皇夫妻が参加する。5万人の選手団・観客を前に天皇が手をふるシーンが演出され、中高生が中心の3千人の演技者による「式典演技」が天皇に披露される。国体は、年間通じて最大の天皇イベントなのである。
テント村では昨年から「やってる場合か!スポーツ祭東京・実行委員会」に参加して、東京国体に反対してきた。これまでも報告を載せてきたが、問題点を再度指摘したい。
@膨大な税金を使う天皇行事
国体は都・国・日体協の共催で行われるが、実質的に財政を負担するのは、都と区市町村だ。国体にともなう税金の浪費については、これまでも様々な指摘がされてきた。日本体育協会の定めるヤケに詳細な「国体競技実施規定」なるものに沿った施設整備が求められるからだ。
このため十分な体育施設がある東京でも、新設や改修の施設が相次いでいる。この施設整備のために、少なくとも700億円の税金が浪費された。スポーツ業界と土建業者の癒着構造が、ここに見て取れる。国体は都道府県の持ち回りで行われるため、規模の小さい県にとっては財政を左右するほどの負担となる。
さらに都は数百億の宣伝費をかけて、国体の宣伝にやっきになっている。皆さんの身の回りにも、公式キャラクター「ゆりーと」のついたのぼりや横断幕、うちわやボールペンが氾濫しているかもしれない。これらは全て税金でまかなわれている。
A八百長・不正が蔓延
国体は開催する都道府県が必ず総合優勝し、「天皇杯」を獲得することが決まっている。50年近く続いている慣習なのだ(例外は一度のみ)。これは「天皇杯」の栄誉を全国あまねく行き渡らせる、という趣旨なのだろうが、スポーツにあるまじき八百長・不正の温床となってきた。
02年の高知国体では、ソフトボール協会の会長が、審判に「ストライクゾーンの広さを変えろ」と指示。発覚して辞任に追い込まれた。2011年の山口国体では、副知事が「ズルしてでも天皇杯を」と命令。数十人の居住実績のない選手が山口代表としてエントリーしたが、「他県もやっていること」と開き直った。
「天皇杯」獲得競争がもたらした不正は、国体のスポーツ大会としての地位を著しく下げ、有力選手の不出場や、親睦試合化が進んだ。
B動員と排除
国体は魅力を失ったため、観客を増やすためにあの手この手の動員を行っている。児童・生徒の競技会場への動員はもちろん、今年は公立校の教員まで夏期休暇の取得可能期間を延長して、会場へ足を運ぶことを要請している。一方、天皇・皇族が参加する行事であるため、精神障害者や野宿者の排除が繰り返されてきた。
8月23日には、精神障害者と野宿者支援の団体が合同して、国体期間中の排除的な動きをとらないような申し入れを都と警視庁に行った。すでに3月には、IOCの東京視察に関連して、代々木公園周辺からの野宿者排除が強行されている。こうした動きにも注意が必要だ。
こうした「悪いことずくめ」の国体であるが、膨大な税金をかけて演出される「盛り上がり」は、ひとえに「天皇が参加する行事」ゆえのことである。多くの人が大して楽しみにしていないからこそ、逆説的に天皇行事という側面が生々しく突出してくる。
やってる実が3月に行った渋谷デモでは、35名のデモに300名の警官が登場した。7月に行ったビラまきにも30名を超える私服刑事が張り付いた。質・量ともに天皇警備としか言いようの無いものだ。
私達はこの弾圧体制をかいくぐり、開会式当日に反対集会と味の素スタジアムに向かうデモを行う。誰もやめられない惰性の行事なら、私達の手で終わらせよう。9・28開会式反対闘争へ!結集を!