6月29日「オスプレイは沖縄にも横田にもいらない 6・29横田集会・デモ」が行われた。主催は、横田行動実行委員会。集会では、「リムピース」編集長の頼和太郎さんが講演。演題は「オスプレイ配備と在日米軍」。
まず頼さんは、自身が出演したNNNドキュメントという日本テレビ系列で放送されている番組を上映した。
イタリアでは98年、米軍機がゴンドラのワイヤーを切り20人が死傷する大事故が起こった。これをきかっけに、政府がイタリア軍の管理下でなければ米軍が低空飛行訓練を行えないと決めた。すると、それ以後米軍は低空飛行訓練を行わなくなった。現地の専門家によれば、イタリア軍の指示に従いたくないというのが理由だろうとのことだった。
また、米ニューメキシコ州では、市民が反対の1500通のメールを送って訓練の延期を勝ち取ったという話も紹介されていた。
続いて講演では、オスプレイの危険性について、非常に丁寧にお話してくださった。
オスプレイは、通常のヘリよりも機体が重い。固定翼と左右のローター(プロペラ)をつなぐクロスシャフトという部品があるためだ。
また、オスプレイの技術評価を担当した元主任分析官レックス・リボロ氏は、エンジン出力が設計値通りに出ていないと米下院で証言している。そのため、機体を軽くする必要から、固定武装やオートローテーション機能がはずされた。
オートローテーションとは、エンジンが止まっても緩やかに落下するようにローターを風の力で回し続ける機能だ。この機能がなければ民間機や自衛隊機であれば航空法により飛行許可が出ないが、米軍は適用除外とされている。
沖縄ではこの話はよく知られており、子どもでも「オスプレイはオートローテーションがないんだぜ」などと話しているそうだ。
さらに、オスプレイは、後方乱気流に弱い。フロリダで起きた事故はこのケースだった。後方乱気流とは、編隊で飛行する際に、前方の飛行機の後方で発生する乱気流のことだ。特に変換モードのときなどに影響を受けやすい。
だが、事故はすべてパイロットのミスのせいにされる。開発そのものに疑義が出ないようにするためだ。では何のためにオスプレイは開発されたのか?
武装がないので突入作戦には使えない。尖閣奪還にも使えないだろう。唯一使えるのは人質救出の輸送ぐらい。イランの米大使館人質事件の直後にオスプレイの開発が始まった。レーダーに見つからない低空飛行訓練はこのためのものだ。また、訓練は、いつどこで飛行するか他の航空機に知らされないので、空中衝突の危険が高い。実際に、事故すれすれの事態が国内で起こっていることがビデオでも紹介されていた。
最近の動きでは、C2艦載連絡輸送機の後継としてオスプレイを使用する可能性を米誌が報じた。そうなると、厚木に常駐する可能性がある。橋下大阪市長が八尾空港で受け入れると言っているが、滑走路の強度が弱い上に、周囲に演習場がないので意味がない。自衛隊の導入については、災害救助にはダウンフォース(吹き下ろす風)が強くて使えない。値段も高い。自衛隊は非合理的なこともするので予断は許さないが、制服も嫌がっているのではないかという話だった。
集会後は、デモ行進。第2ゲートにて米軍と自衛隊両方に申し入れ書を提出した。米軍はゲート前から呼びかけたが対応せず、自衛隊は交番前で名も明かさず受け取るという不誠実な対応だった。参加者は30人ほどだった。
6月10日から26日まで、米サンクレメンテ島で日米の離島奪還訓練が行われた。14日の訓練では、初となるオスプレイによる「ひゅうが」への着艦が行われた。17日の訓練では、敵に占領された空港をオスプレイに乗った海兵隊が制圧して、その後自衛隊がLCAC(ホバークラフト)で上陸し、引き継ぐという訓練が実施された。米本土で三自衛隊統合の訓練が行われるのも初めてだ。
頼さんの指摘のようにオスプレイで突入するというのは非現実的だ。離島奪還というよりも、単に米軍の上陸作戦を支援する訓練のように見える。オスプレイの宣伝でしかない。オスプレイ配備と日米軍事一体化に反対しよう!