テント村通信アーカイブ



6・29横田デモへ
米軍再編・自衛隊先島諸島配備に反対!(2013年6月号)




 橋下徹の「米軍は風俗を活用すべき」「慰安婦制度は必要だった」などの一連の差別暴言は様々な波紋を広げた。さすがに安倍政権も米国もこの発言を認めるわけにはいかず、一応批判的なポーズをとってはいる。


 

 だが、沖縄をはじめ全世界の米軍基地周辺では米軍兵士による性犯罪は後を絶たないし、沖縄でのそうした問題を日本政府は黙認しているのも同然の姿勢だ。戦前の日本軍も同様だった。結局、軍隊の周辺には兵士による犯罪も、「風俗活用」もいつも存在している。言わば軍隊というものの「常識」として黙認しなければ、その維持も出来ないと実は米軍も日本政府も考えている。


 そんな軍隊・基地そのものの完全解体・撤去を求め、反戦反基地運動の側は闘い続ける以外にない。


改憲の動きに対決を


 夏の都議選・参院選前の一連の暴言は恐らく、その結果にも少なくない影響を与えるだろう。だが、維新の会を支持していた票が流れる先は、結局自民党などの保守政党だ。結果、安倍政権の支持基盤がますます強まり、改憲への動きが強まるということになるのかも知れない。


 橋下以外にも、戦争責任などをめぐる様々な政治家の右翼的発言が出ている。維新の会だった西村眞吾は「日本には韓国人の売春婦がうようよいる」と発言して党を除名になった。自民党の高市早苗は「侵略という文言を入れている村山談話にしっくりきていない」と発言したが、こちらは橋下発言ほどには問題にされていない。


 こういう一連の発言が可能になったのは、安倍政権への支持率が高いという保守が強い状況があるからだ。その支持の高さの背景は、アベノミクスと呼ばれる経済政策だが、5月下旬の株価の乱高下で早くもその化けの皮がはがれつつある。実体経済を伴わず金融政策のみで経済の活性化ができるはずもない。物価だけ上がって賃金追いつかず、さらに惨憺たる状況に労働者の生活は追い込まれる可能性が高い。


 一連の右派差別発言も結果として自民党強化、安倍政権の改憲と軍事強化の政策の後押しをするかのように見えてくる。尖閣や竹島問題、朝鮮民主主義人民共和国のミサイル発射の動きなども巧みに利用しながら、PAC3配備や先島諸島への自衛隊実戦部隊配備は押し進められつつある。


 常時基地被害にさらされている沖縄の民衆のことを真剣に考えるなら、基地撤去、あるいは最低限でも縮小を考えるのが当たり前のことだ。しかし、普天間返還の代わりに辺野古に新基地を作り、実際には米軍基地強化になる政策を進める。また、事故の多いオスプレイ配備を認め、その増強も認める。自衛隊でもオスプレイを購入すべく調査費を計上して配備の方向に動くなど、基地や軍隊強化の一方でその周辺の人々が迷惑を被るのはやむを得ない、と考えているようだ。言うなれば橋下も日本政府も米軍も本音の考え方は大差がないのだ。


 憲法九六条改憲を皮切りに、九条の改憲や様々な人権にも制限をかけ、国家権力強化につなげる攻撃がかけられてくるだろう。こうした改憲攻撃に立ち向かう必要性が切迫してしている。


基地と原発と改憲と


 安倍政権は一方では、原発の再稼働も狙ってくるだろう。現実には、福島の事故収束は見通しもほとんど立たない。汚染水の水漏れやネズミ一匹で停電してしまう冷却システムなど、課題は山積みだ。原発という巨大システムそのものを根本的に見直して行く必要性が今あるのだ。


 また東日本大震災以降、自衛隊の支持率は高い。だが、暴力装置としての本質は米軍と同じだ。なし崩しの支持、「自衛隊にもありがとうと言おう」という反戦運動の中にすらある誤った姿勢は、自衛隊が本格的に日本周辺や海外で戦闘行動を行うことを阻止する力にはならず、運動そのものへの解体につながる。


 6月29日には実行委による横田デモがある。こうした米軍基地・自衛隊基地への正面からの闘いの中で、はっきり軍と基地への対決の姿勢を打ち出していく必要がある。 


 基地の問題、原発の問題、改憲問題…これらの問題の本質を奥深く問い、小手先の金融政策に踊る今の社会と政治に正面から対決しよう。各課題をしっかりつなげてこの6月を闘い抜こう。



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