6月30日には「オスプレイは沖縄にも横田にもいらない6・30行動横田行動」主催による福生公園での集会デモがあり、約50名が参加した。府中にいた航空総隊が横田基地に移転した後では恐らく初のデモとなる。第2ゲート近辺ではオスプレイ配備と航空総隊移転に反対する申し入れを受け取らせたが、総隊側の担当者は氏名も階級も名乗らず、その上ゲート前できちんと受け取れ、という要請を聞き入れず交番で受け取るという不愉快な態度だった。
夏〜秋はこのオスプレイ配備と原発再稼働をめぐり、さまざまな集会・デモなどの抗議行動が続く。これまでのいくつかの行動のレポを行っていこう。
この横田集会の後、沖縄や岩国での強い反対にあいながらも、7月23日に岩国基地に12機のオスプレイが運び込まれた。だが、当日は埠頭や海上での抗議行動が行われ、現地の反感は強く、すぐに試験飛行が出来るような状況にはない。
このオスプレイに対して日本政府の態度は極めてあやふやだ。野田首相は「配備自体は米国政府の方針だ。どうしろ、こうしろという話ではない」と言った後、沖縄・岩国現地での強い反発を受け、今度は「安全性が再確認されるまでの間、日本でのいかなる飛行運用も行わない」と国会答弁で述べ、何とか現地を丸め込もうとしている。しかし、前原政調会長が沖縄配備日程の見直しを行うべきと発言するなど、党内はちぐはぐな状態になっている。
オスプレイの事故率の高さは明らかだ。米軍側は「事故は人為ミス」「統計上は旧式のヘリに比べ事故率は低い」などと弁解に懸命だ。だが、アフガニスタンで2010年に起きた墜落事故の調査報告について事故調査委員長を務めた空軍幹部ドナルド・ハーベル退役准将は、機体の不具合=エンジンの不調が事故につながったという報告書を作成したが圧力がかかり、改ざんを要求されたことを暴露している。要するに意図的に「人為ミス」で機体の問題はない、という方向に報告を改ざんしようとしたのだ。
事故率についてもNHKなどの取材では、死亡事故などのAランク以外のB,C級の事故を含めるとむしろ事故発生率が高いという統計データがあることがわかっている。
これほど危険なオスプレイを沖縄に配備する理由はCH46に比べ2倍の速度、5倍の航続距離(輸送力はあまり差がない)という「高性能」だろう。朝鮮半島や台湾をにらみ米海兵隊をそこに迅速に移動させるために、
オスプレイは必要な輸送機なのだ。
だがそれは、米軍の海外での侵略能力を高め、アジアでの戦争危機を高めることでしかない。我々は改めて戦争で本当の平和を作り出すことができないと、強くオスプレイの配備に反対していく必要がある。
沖縄では8月5日に県民集会が予定され、呼応する形で同日に東京で反対集会が行われる。岩国での試験飛行、普天間への移動に強く反対してこうした集会にも連帯し、首都圏でのオスプレイ配備反対運動を継続していこう。
オスプレイ問題以外、高江でのヘリパッド建設再開、与那国島での自衛隊配備反対行動、東京都内でのレンジャー訓練など安保・自衛隊をめぐる動きは今大きい。原発反対運動の高揚の影になりがちだがきちんとそれぞれの動きにも対応していく必要がある。 脱原発ではこの間、毎週の大規模な官邸前行動や17万人集めた代々木公園での集会デモがあった。また地域でも7月14日にはたまウォークのアフター企画として種まきネットの7月福島現地訪問報告会などが行われ、中央・地域で精力的に行動が続いている。
だが官邸前行動で見られるような旗やビラまき、シュプレなどへの規制は、運動それ自体の形骸化につながる。7・16集会で落合恵子さんは「原発もオスプレイも基地も全部反対」と発言した。基地と原発に同根の問題とは何か、資本の搾取と差別や国家の侵略性を問題にしなければ、原発も基地もなくなりはしない。単に人を多く集めよう、警察に弾圧されないようにおとなしくしようということを自己目的にした運動は無力化する。言うべきことはきちんと主張していこう。