毎年5月は忙しい。憲法集会、反基地駅伝という定番メニューの行動があり、だいたいこの頃に反戦運動の集会も集中する。特に昨年の福島の原発事故以降、反原発闘争は反戦反基地運動を闘う側にとっても重要な課題である。ほぼ毎週のようにどこかでデモか学習討論会などがこの課題で行われている。
稼働中の原発が5月には0になろとしている現在、再稼働をめぐる緊張した攻防が大飯原発周辺や国会でも続いている。
当面の集会などへの呼びかけを行いながら、原発と反基地をめぐる運動状況への考え方を整理したい。
都内の争議団共闘などで形成される地域共闘交流会という組織がある。緩やかな地域共闘機関による運動交流が目的だが、先だって反原発運動をめぐる集中討論が行われた。原発と核兵器が実は当初から車の両輪のような構造で、国家と独占資本により開発が進められてきた歴史の検証と、戦後の反核運動内で起きた意見対立についてなど、多角的な視点で検証が行われた。
戦後、社会主義国での核実験をめぐって原水爆禁止運動内に意見対立が起きたこと、また現在は反原発を訴える文化人の1人大江健三郎氏は「新しいエネルギー源としての核開発の必要性」を説いていた時期もあったことも触れられた。原子力発電や放射線というものがどういうものか充分知識も持たないまま、安易な賛成をした文化人は他にもいるだろう。現在1000万人アクションの呼びかけ人として脱原発運動の先頭で頑張る大江氏はまだいいが、社会運動を担う活動家の方でも反省点はあるだろう。
実際問題、反基地運動や労働運動の側が、原発の問題に充分に取り組めていたわけではない。スローガンや運動スタイルに躊躇することもあった。だが基地建設と原発建設には、「交付金」による地域懐柔などのよく似た差別構造と、国家と独占資本にのみ都合のいい搾取を生み出していた事実がある。
国家と資本への根本的な批判抜きで完全な脱原発も基地撤去も実現し得ない。地域共闘交流会での議論は、そういう視点を深める上で役に立ったが、さらに精力的にこうした議論を深めていく必要がある。
脱原発をめぐる地域の運動予定では、三多摩では「第4回たまウォーク」が6月10日(土)一橋大学南門前緑地13時出発で行われる。解散後は国立駅北口のひかりプラザで、東海村で脱原発運動を闘うグループと交流会を行う。他にも自治体単位でデモは盛んに行われている。これらの行動への積極的参加を訴えたい。
オスプレイは4月のモロッコにおける墜落事故で配備延期になることもなく、逆に沖縄搬入を10月から7月に前倒しにする方向が発表され、沖縄現地では強い反発が起きている。現在の情報では、部品の状態のまま那覇に運び込み、現地で組み立てる計画が検討中だそうだが、実際にそうなるかどうかはまだ不確定要素がある。
事故が多いオスプレイだが、騒音もまた普通のヘリより大きい。オスプレイが沖縄に配備されれば、全国のあらゆる基地の周辺に事故や騒音という災禍が降りかかる可能性がある。5月22日〜24日には厚木基地で空母艦載機部隊の夜間離着陸訓練(NLP)が行われ、その猛烈な騒音に対して、市民の苦情が 3千件以上も役所に殺到したという。「遅い時間になる前に規定回数の訓練を終えるため、短時間に離着陸が集中した」と米軍側では言い訳しているが、基地周辺の地域にはこういう負担がのしかかる。
また、オスプレイは普通のヘリが持つオートローテーション(不時着時の滑空機能)もなく、極めて危険な軍用機だ。これが沖縄に配備されれば、やがて訓練のために横田や厚木、岩国などにも飛んでくることは確実だ。配備そのものをやめさせ、基地そのもの撤去以外に基地公害の被害から逃れるすべはない。
横田基地に対しては「オスプレイは沖縄にも横田にもいらない6・30行動」が6月30日午後2時から福生公園での集会とデモを予定している。また「横田・基地被害をなくす会」が新たな原告の募集を開始している。こうしたデモや訴訟にも積極的に参加しながら基地の撤去を求めて運動を盛り上げていこう。