テント村通信アーカイブ



福島の人々と手をつないで、反原発の声を!
軍隊参加の防災訓練は、おためごかしだ!(2011年9月号掲載)



 震災発生から半年を目前にして、国や東電による原発再稼動が画策されているなか、反原発の行動が各地で活発に続いている。

 8月28日には福島県いわき市で、今年2度目の反原発デモが行なわれた(主催:NO NUKES MORE HEARTS/いわきアクション!ママの会)。東京からも反原発デモでお馴染みの太鼓楽団を含むバスツアーが組まれ、デモ参加者は約300名にのぼった。


いわき現地の声 ―モルモットはごめんだ!


   デモ出発前の集会で、佐藤かずよしさん(いわき市議/脱原発福島ネットワーク世話人)から、現地の状況の報告があった。(以下、要約)

「いわき市民は毎日の余震で不安を抱えている。しかし東電は福島第一原発の5・6号機や、第二原発の4機については未だに廃炉と言っておらず、佐藤雄平福島県知事も第二原発については明言していない。第二原発は双葉断層の真上にあり、いわき市民にとって死活問題だ。

 また、8月に入ってから国は県民健康調査という名目で、200万県民に問診票を送りはじめている。基礎調査は200万人に対する問診票(3月11日以降、1週間の生活調査)で行なうが、そこから積算放射線量を推定し、一定の基準を超えた人にだけ詳細調査をする。この詳細調査は最初から上限が20万人と決まっていて、県民の一割にしか実施しない方針だ。これで県民の健康が守れるのか疑問だ。

 広島の被曝者の方は、何も知らされずに調査だけされた体験を、"モルモットにされ屈辱的だった"と今だに語っている。このままではこの健康調査は、差別的で限定的なものになっていくのではないか。」

 デモ隊はいわき市の繁華街を練り歩き、街ゆく人々の反応は概ね好意的。それだけ事態を深刻に受け止めている市民が多いということだろう。

 震災発生から半年にあたる9月11〜19日には、「さよなら原発1000万人アクション」と題し、全国各地で同時行動が呼びかけられている。いわき市では17〜18日に、地元ミュージシャンの呼びかけによる反原発ライブが予定されている。また、東京では11日に素人の乱主催「原発やめろデモ」が新宿で、同日に「9・11脱原発!全国アクション実行委」主催の日比谷公園デモと経済産業省包囲行動が予定されているほか、三多摩では17日に「たまウォークin立川」が予定されている。

 福島現地の人たちや全国の仲間と手をつなぎ、すべての原発を止めるよう政府や電力会社を追い込もう。


軍隊はトモダチじゃない!防災訓練反対!


 自衛隊や米軍の防災名目での出動に対し、文句を言いづらくなった、という声をよく聞く。今年の東京都防災訓練は10月29日に小金井で予定されているが、8月30日に「米軍・自衛隊参加の東京都防災訓練に反対する実行委員会」主催による前段集会が行なわれた。また、9月11日には立川市の防災訓練が市役所周辺を会場に予定されており、テント村では情宣を予定している。

 今年の震災で、特に被災地では自衛隊に助けられたと感じている人が多いことは、理解できる。しかしあの出動には米軍と陸海空自を統合運用した実地の軍事訓練という意味があり、言わば下心のある出動だったと言える。また、そもそも米軍は原発80q圏内では一切活動をしていない。そして被災地での軍隊の活動は、「有事のための従順な市民づくり」に利用されている。

 北日本の太平洋側全域が甚大な津波被害を受けるという状況下にあっても、米軍・自衛隊は、沖縄高江へのヘリパッド建設工事に向けた住民への訴訟を継続し、馬毛島への新基地建設を画策し、与論島への自衛隊配備を進めようとしている。いま、新しい基地を作る経済的な余裕が、この国にあるとはとても思えない。軍事費はすべて、震災地支援に使うべきだ。

 また、本気で「正しい防災」を考えるというのならば、甚大な二次災害をもたらすことがハッキリしている原子力発電所を、地震の頻発地帯である日本列島からまず排除すべきだ。そこから目を逸らした「防災」など、そもそもおためごかしと言わざるを得ない。

 テント村が防災訓練に反対しはじめた頃、「むかし国防、いま防災」というスローガンを使った。その基本認識を外すことなく、防災訓練反対の声をあげ続けたい。



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