5月15日、1ヶ月ぶりに福島県いわき市を訪れた。いわきの反原発運動を担う人々は、生活の再建に精一杯な状況が続いている。しかしついに震災後初のデモをやるというので、東京からかけつけた。
デモは「いわきアクション!ママの会」と「NO NUKES MORE HEARTS」の共催。約500人の参加者の中には福島市、川内村、郡山市などから来た人もあり、福島県各地からの結集である。
デモ隊はいわきの市街地を、約2時間かけて練り歩いた。沿道からはたくさんの人が手を振り、高校生が合流してきてマイクを持つ場面も。デモが中盤に差し掛かった頃、体育館の窓から手を振るたくさんの人々に出会った。平体育館は、福島第1原発の20q圏内にある楢葉町からの避難所だった。デモの楽団が足を止めて演奏をすると、おじいさんが窓から身をのり出し「応援してるから、頑張って!」と何度も言ってくれた。
デモ終了後、公園の芝生で交流しようとしたが、気が付くと残っているのは東京からの参加者ばかり。芝生に置いたガイガーカウンターは0.8μSV/hを示し、放射線管理区域並みの値に達していた。東京との危機感の違いを改めて思い知らされた。
5月22日、さらに北上して青森県の大間を訪れた。大間は下北半島の突端にある小さな港町で、ここにも原発の建設計画がある。すでに工事は着工されているが、その建設予定地内に一軒だけ、土地を売らずに頑張っている人がいる。「あつこさん」だ。彼女の土地で大間原発反対の全国集会と、反核ライブ「大MAGROCK」が開催された。
「あつこさん」の母親は、東北電力に土地を売らないまま数年前に亡くなった。相続権を持つ姉弟4人は一致して、その遺志を継ぐことに決めたという。フェンスに囲まれた会場の外側、わずか200m先では巨大クレーンが炉心の建設工事を進めていた。
全国からかけつけたミュージシャンの中には、気仙沼のシンガーや石巻のレゲエバンドなど、自ら被災している人も多く、命について色々考えさせられた。参加は450人と大盛況だった。
震災と原発事故のドサクサに紛れて、政府は軍備強化の計画をいくつも強行しようとしている。その筆頭が沖縄の基地問題である。
「2プラス2」の会合を前に、日米政府は普天間基地の移設計画を辺野古へのV字案で合意した。自民党時代の計画への、完全な回帰である。この合意を受け、6月いっぱいの予定で工事が中断されている沖縄県高江では、7月初頭から米軍ヘリパッドの工事が再開される可能性が高まっている。東京でも6月中旬〜7月にかけて、普天間基地の県内移設と高江ヘリパッド工事を阻止するために、さまざまな取り組みが予定されている(詳細はスケジュール欄を参照)。
また、注目すべき新たな動きもある。宮古島に隣接する下地島に、日米共同の災害対応センターを設置する方針が発表されたのだ。まるで「トモダチ作戦」の延長のように装っているが、そうではない。下地島への自衛隊の配備自体は、07年にも画策されていた。しかしその時は、日米共同の軍事使用を懸念した地元の反対があって、頓挫したのである。今回の方針は頓挫した計画の蒸し返しであり、災害救助を名目にした軍事強化以外の何物でもない。
「国益」という名の利権のために、福島や沖縄に被害をこれ以上押し付けるのはゴメンだ。街に出て反対の声ををともにあげよう!