テント村通信アーカイブ



カダフィもNATOも空爆やめろ!
リビアのことはリビアの民衆が。
日本の原発は今こそ私たちが…。(2011年5月号掲載)




日本の核政策を放棄させよう


 福島第一原発での放射能漏れが続いている。政府によれば、これまで漏れた放射能はチェルノブイリ事故の1/10という。それでも広島に落とされた原爆がまきちらした放射能の40倍をすでに放出してしまった。

 事故直後に原発に派遣されることを恐れた自衛官が部隊から脱走し、免職になったことも明らかになった。「卑怯者」ではない。逃げることは正しい。誰かに「決死」を要求する原発こそがおかしく、それを前提にした社会システムこそが異常なのだ。

 原発に対する反対運動も、大きな広がりを見せている。4月10日の高円寺の集会・デモには15,000人が集まった。世論調査でも、原発への賛否は半々というところまできている。現在が脱原発へと大きく舵をきる最大のチャンスであることは間違いない。

 反戦運動としては、日本の核政策を批判する視点が重要だ。原発でウランから作り出されるプルトニウムは、核兵器の主要な原料であるが、日本はすでに45トンものプルトニウムを保持している。北朝鮮が50キログラムのプルトニウムを保持していただけで世界は大騒ぎになり、各種の制裁がかけられたというのに、日本はすでにその1000倍の核物質を保有しているのだ。

 また中国軍の原発事故対策チームが、福島への派遣の準備を進めていたが、日本政府がこれを断っていたことも明らかになった。事故への対応一つとっても、軍事的思惑に左右される。軍頼みの救援、機密扱いの原発、いずれもすぐに止めるべきだ。


NATOはリビアへの軍事介入をやめろ


 震災の陰に隠れてしまって報道されないが、アラブ地域ではチュニジアとエジプトで独裁政権を倒した民衆革命の波が大きく広がっている。

 リビアでは、反政府運動にカダフィ政権が徹底抗戦を指示。内戦化して二ヶ月が過ぎた。国連安保理は、カダフィ政権の民衆虐殺を批判した決議をあげ、これを根拠に、英米仏の連合軍が三月からリビアを空爆している。この空爆はNATOが引き継ぎ、現在も続けられている。

 カダフィ政権が腐敗した独裁体制であることは間違いないし、クラスター爆弾まで使って反政府派を攻撃していることは絶対に許されない。 だが、だからこそ、NATOの軍事介入は許されない。今現在、アラブ地域で打倒されているのは、欧米の帝国主義的支配と結びついた腐敗権力である。カダフィもまた、この十年は欧米諸国と蜜月関係にあり、石油を安定供給することで武器(クラスター爆弾も)を得て、民衆支配を強めてきた。また、旧宗主国であるイタリアとは「カダフィ=ベルルスコーニ協定」と呼ばれる協定を結び、アフリカからEU圏を目指す移民労働者たちをリビアが厳しく取り締まってきた。

 「民衆保護」に名を借りた欧米のリビアへの軍事介入を新たな従属関係を形成する第一歩としてはならない。リビアには従来から東西の地域対立などもあり、片方を圧倒的な軍事力が支援することは、かえって事態の複雑化・長期化を招く可能性も高い。

 イラクやアフガンの混乱をみれば、アメリカがまき散らした武器や、介入による対立の複雑化が、いかに「紛争解決」を遠のかせているかは一目瞭然だ。リビアのことはリビアの民衆(アフリカの民衆が、でもアラブの民衆が、でもいい)が解決するしかない。それ以外の解決は、必ず新たな火種を生む。


日本政府による空爆支持、糾弾!


 そもそもイラク・アフガンで手一杯になったアメリカが静観していたからこそ、エジプト革命は勝利した。チュニジアやエジプトで証明されたことは、介入も陰謀もなしに、人々は新たな政治体制を作れるということだ。

 英米仏のリビア空爆の翌日に、日本政府がこっそり空爆を支持していることも見逃せない。「欧米帝国主義の一員=先進国」という思い込みがなせる業だ。許せない。

 闘いは、シリア、イエメン、バーレーンへとアラブ地域全体へ広がっている。この地域の王制・独裁制が打倒され、欧米(もちろん日本も)が支配の足がかりを失った時、全く新しい世界が始まるだろう。「連帯」は難しくても、せめて固唾をのんで見守ろう。



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