テント村通信アーカイブ



辺野古にも高江にも基地は作らせない!
全世界に連帯しよう!(2011年2月号掲載)



 2月20日、アメリカ大使館に対して高江のヘリパッド建設に抗議する行動が行われ、不当にも2名の逮捕者が出た。テント村ではこの弾圧に強く抗議するとともに、2名の即時釈放を求める。沖縄では、この高江のヘリパッド、辺野古の普天間代替基地建設をめぐって緊張状態が続いている。高江現地では連日の抗議活動も続いている。この琉球諸島の西の端、先島諸島には自衛隊実戦部隊配備の動きもある。沖縄の反基地運動と連帯しながら、今首都圏で反基地運動を大きく盛り上げていく必要性がある。


「辺野古を考える」上映会から


 2月19日には日野の七生公会堂で「辺野古を考える]上映の会・三多摩主催による3本のドキュメンタリー映画と藤本幸久監督のお話を聞く会が開催された。辺野古を考える 全国上映キャラバンの一環として開催されたもので、午前午後の上映をあわせて100名以上の人々が参加、熱心に監督の話に耳を傾けていた。 映画は辺野古地区を描いた「また、また、辺野古になるまで」、イラク戦争に参加した兵士の証言で構成される「IVAW(反戦イラク帰還兵) 日本で訴える」、米海兵隊の新兵訓練を撮影した「One Shot One Kill」(一撃必殺)の三本。

 特に印象が強烈なのは「One Shot One Kill」だろう。見た人の感想文を読むと、スタンリーキューブリックの「フルメタル・ジャケット」を思い出した人が複数いたようだ。こちらはベトナム戦争当時の海兵隊を描いた劇映画で、海兵隊員の証言を元に作られてはいるが、劇映画ならではの誇張と思われるシーンもある。

「One Shot One Kill」は現実の海兵隊訓練場に堂々と日本人スタッフのカメラを入れさせて撮影させた映画で、劇映画以上の迫真さを感じさせる。まだあどけなさの残る若い男女の新兵達に、最初が肝心と徹底的に上官へ服従させ、命令の中身を考えさせずに即時実行させる思考回路を作り出していく。この訓練場では一割は脱落していくが、毎週五百名の新兵がやってくるという。その何割かはイラクやアフガニスタンなどの激戦地に送られていくことだろう。 

 現在のアメリカでは徴兵制がしかれていない。それでも多くの若者が軍隊を志願する。愛国心というよりは経済的な理由でここしか行き場が見つからなかった者も多いようだ。最初は戸惑いながらの軍隊だが、実戦を通じて戦闘マシーンとして自らを鍛え上げていく者もいるはずだ。

 しかもそうした世界最強の戦闘組織を作り出す教育内容に米国は絶大な自信を持っている。だからこそカメラを入れさせたのだ。言論が自由なはずのアメリカで、国家を支えその国益を守るための暴力装置は、それに反対するものを押しのけて、今も確実に維持されている。ベトナム戦争で大敗したアメリカだが、兵士を死なせないように衛星誘導兵器や無人攻撃機、ロボット兵器の開発に力を注いでも、戦争そのものへの反省は全くしていない。そんなことを感じさせられたこの日の上映会と監督の話だった。


中東・北アフリカの激震


 沖縄の基地問題が焦点になっている一方、中東・北アフリカではチュニジアを発火点にして広範囲の地域で民主化闘争の嵐が吹いている。エジプトでは最後まで権力の座にしがみつこうとしたムバラクはついに即時辞任に追い込まれた。バーレーンではシーア派・スンニ派の宗教対立が絡んでいる。リビアでは長く続いたカダフィの独裁に対して軍の一部や国連大使すら反旗を翻し、内戦に近い状態が今生じている。

 チュニジア、エジプトでは若者の高失業率や私腹を肥やす資本家などへの不満が背景にある。だがリビアでは失業率は高いものの、石油から得た利益は大きく、一人あたりのGDPはロシアより高い。教育や医療は無償だ。このように必ずしも各国の政治経済の状況は同じではなく運動の発生要因もさまざまで、その方向性もまだ不透明な面がある。

 だがインターネットが確実に世界を狭くし、運動のテンポを速めたことだけは間違いないようだ。イラク反戦運動もベトナム反戦運動に比べ立ち上がりは早かった。ネットを活用しつつ、より大胆で迅速な反戦運動の拡大が今求められているのではないか。



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