新しい年を迎えたが、年をまたいで沖縄・高江の米軍ヘリパッド建設予定地では緊張が続いている。
昨年12月22日早朝、沖縄防衛局員や作業員100名以上が押し寄せ、フェンス設置を強行し、ヘリパッド工事を始めたのだ。その翌日には、米軍のヘリコプターが住民の座り込みテントの真上約15mでホバリングし、座り込みテントを吹き飛ばすという事件も起きた。米軍は「通常訓練」と主張しているが、到底信じられない。
その後も、波状的に工事が強行され、1月26日には、国が住民を訴えた裁判の日に、座り込みの住民が法廷に出かけたスキをねらって工事が強行された。このようにどんなに卑怯な手を使ってでも、高江にヘリパッドを建設しようとする日本政府、米軍を、私たちは断固糾弾する。
一方で、高江の住民の抗議行動に呼応して、この間、東京でも様々な取り組みが行われた。1月16日のアメリカ大使館申し入れでの警察、大使館の対応は特にひどいものだった。警察の暴力を使った規制と法的根拠のない人数制限だけでなく、大使館も「土日は対応してない」とついに申し入れ書の受け取りを拒否したのだ。日米の権力が一体となって、基地建設反対の声を圧殺する動きを強めているのだ。
琉球新報や沖縄タイムスでは連日1面などで、高江の動きが報じられている。しかし、本土では全くというほどマスコミは伝えていない。この温度差こそが、沖縄に基地を押し付けている現状を生み出している。2月20日には「高江にヘリパッドを造らせるな!沖縄に基地はいらない!アメリカ大使館デモ」が呼びかけられている。ぜひ参加して、本土から高江でのヘリパッド建設反対の声をあげていこう!
昨年12月17日、政府は新しい「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画(中期防)」を閣議決定した。
新大綱は中国の軍事動向を初めて「地域・国際社会の懸念事項」と指摘。テロや北朝鮮ミサイルを含めた多様な事態に機動対処する「動的防衛力」への転換を明記した。また、南西の島嶼部侵攻に備えた対処能力強化を打ち出した。さらに、国連平和維持活動(PKO)参加五原則見直し検討、韓国、オーストラリアとの協力強化、首相官邸に政策調整と助言を行う新組織の設置など、新しい事項も盛り込まれた。
陸海空各自衛隊の装備や規模を示す別表は、陸自定員について15万400人と明記。戦車は600両から400両、火砲も約600門から400門に削減する。中期防は前回(05〜09年度)比で7500億円減の23兆4900億円。海自イージス艦の機能強化、空自の対空誘導弾パトリオット(PAC3)の全国配備も推進するという。
今回の大綱の特徴としては、世界の軍隊の趨勢を反映して「軍事力の多様化」と日米安保との接合を打ち出した点があげられるだろう。「動的防衛力」という概念には単に部隊の動的配置ということだけでなく、多様化に対応した軍事力という意味もあるようだ。いわく「国家間の信頼醸成・友好関係の増進のほか、紛争の予防から復興支援等の平和構築、さらには非伝統的安全保障分野において、非軍事部門とも連携・協力」する。「アジア太平洋地域において、二国間・多国間の安全保障協力を多層的に組み合わせてネットワーク化することは、日米同盟ともあいまって、同地域の安全保障環境の一層の安定化に…不可欠である」。
米国以外との軍事交流、PKO、NGOとの連携、人道支援などの紛争予防や事後処理といった、いわゆるかつての宣撫(せんぶ)活動すなわち、外地での人心管理、統制、浸透。これらを「日米同盟を深化させつつ」組み合わせるとした点が、前回の大綱以降の時代変化に対応した今回の特徴だろう。これが民主党らしさなのかどうかは不明だが、こうした軍隊の変化に私たちも対応する必要がある。日米安保基軸であることは変わらないが、それが域内安保枠組と合わせて打ち出される点に注意しなければならない。
まだまだ寒さは続くが、寒さに負けずに反戦の声をあげていこう!