「秋は防災の季節」なんてことは言いたくないが、9月の立川は防災訓練反対の行動が相次いだ。
9月5日は立川市の防災訓練。立川では長年、市の防災訓練に自衛隊を参加させなかったが、昨年からついに正式に参加するようになった。今年の訓練会場である大山小学校の前で、朝から10名ほどで訓練に疑問を投げかけるビラを配布した。
私たちは子どもの頃から散々、「何かあったら避難場所へ避難する」という指導を受けてきた。しかし国が昨年策定した「首都直下地震対策大綱」では、首都中枢機能の維持が第一に掲げられ、住民についてはなるべく移動させない、避難所に来させないという方針なのだ。理由は部隊の展開に邪魔だからである。
こうした国の方針を知ることもなく、近くの団地から住民が集まってくるのを見るにつけ、この人たちは自衛隊にとっては単なる治安維持の対象でしかないのだ、という思いを強くした。
9月19日は陸上自衛隊立川基地で、「立川防災航空祭」が開かれた。この基地は「広域防災基地」という位置づけで、表向きは防災の拠点だとされている。しかしこの祭りはかつては「立川駐屯地祭」という名称であり、今も内実は自衛隊の宣伝イベントだ。
この日は基地正門の前で祭りの中止を求める申し入れを行ない、参加者にむけて1時間ほど情宣。その後、立川駅前に移動してさらに情宣を行なった。轟音をたててヘリが飛ぶと、急にビラがパッとはける。この日に編隊飛行をしたヘリと航空機は三〇機近くにのぼり、AH-1S対戦車攻撃ヘリなど攻撃型のものが多数を占めていた。防災のためというなら、少なくともこれらの兵器は必要ないはずだ。
祭りのための騒音は、この日に限ったことではない。大量のヘリは予行演習のために、何日も前から市街地の上空を編隊で旋回し続けているのだ。その飛行経路は南は府中市や稲城市、北は東村山市にまでおよぶ。今年7月に普天間爆音訴訟の判決で、ヘリの低周波騒音の被害がはじめて司法に認められたことを考えれば、この騒音は間違いなく違法状態だと言えるだろう。
また、89年の駐屯地祭では基地内で曲芸飛行中のセスナ機が墜落し、2名の乗員が死亡する事故もあった。自衛隊の宣伝のために、危険や騒音と隣り合わせの生活を強要されるのは、もうまっぴらだ。
立川基地には82年の初飛行以来、C1ジェット輸送機が訓練のために毎月飛来する。テント村のC1飛来反対デモも28年間行なっていることになるが、そのC1の後継機問題がいま浮上している。すでに開発が終了した後継機XC2が、立川に訓練で飛来する懸念があるのだ。
海外派兵への強い抵抗感から航続距離を短く作られたC1と違い、XC2は海外派兵を前提に開発されている。機体の大きさはC1の約1.5倍、重量は約2.5倍とかなり大きいが、離着陸に必要な滑走路の長さはC1と同程度だという。立川基地はヘリ基地だから滑走路が非常に短く、今でさえ周辺の建物の高さギリギリに入線してくるのに、XC2の離着陸は操縦がさらに難しくなっている可能性がある。そして離着陸時の騒音レベルについては未知数だ。
「防災基地の機能維持のため」とされてきたC1の訓練を、海外派遣向けのXC2で継続することは立川市としても認められないだろう。「XC2も立川に来るな」の声をしぶとくあげていきたい。