8月29日、東京都総合防災訓練が、文京区と合同で開催された。午前7時ごろ、震度6弱以上の首都直下型地震が発生したとの想定。約15,000人が参加した。会場は、白山通り、東京大学、向丘二丁目会場、都立小石川高校、東洋大学、東京臨海広域防災公園、横須賀基地、横田基地。
今年も性懲りもなく自衛隊と米軍が参加したが、自衛隊は例年より少なく約200人、米軍は強襲揚陸艦デンバーやヘリなどの乗員400人が参加。自衛隊は練馬の第一師団第一普通科連隊が中心。練馬基地で監視していた仲間によれば地震発生前の6時に練馬を出発していたという。訓練テーマは「『自助・共助』と『連携』」。
当日の監視や報道を総合すると、白山通り会場では、上り4車線を封鎖して、事故車両からの大規模救出訓練と道路上の障害物の除去訓練が行われた。監視によれば公道上を封鎖する規模はこれまでで最大規模だったという。なぜか白山通りにはない電柱が転倒していたそうだ。
東京大学では安田講堂前の並木道を利用して、大がかりな倒壊家屋のセットを組み、高校生や地域住民、地元消防団が連携して、バケツリレーによる消火活動や被災者の救助を実施。東京大学自衛消防隊のほか、都立小石川高校、向丘高校の生徒らがバールなどを使い、倒壊した家屋に埋もれた被災者を救出する訓練が行われた。
昨年の仙川と同様、消防や自衛隊が到着しないというシナリオで行われた。報道では「震災が発生しますと、広域的に発生しますから、我々消防機関もなかなか手が回らないんです」と本郷消防署の課長の談が紹介されている(TBS)。また、事前の都との交渉では、救出訓練は3回あり、最後の1回はその場で参加者を募る形式で初めて行うと言っていた。より実践的なスタイルになった。大学を使用した訓練も初めてのことである。
都立小石川高校では、医療救護所を設置し、けがの状態によって治療の優先順位を決める、トリアージの訓練などが実施された。170人の生徒が動員されたが、初めて「奉仕」という授業の一環として参加させられたことが直前に、判明した。これも都との交渉では、学校の参加はあくまでも要請であり、法的根拠はないと回答していた。そうすると、学校が勝手に授業にしたという言い分になるのだろうが、生徒の強制動員であり、非常に問題だ。
米軍艦船での訓練には、東京都職員や順天堂医院の医師らが参加。同医院の研修医四人が負傷者役になり、やはりトリアージ訓練を実施。軍医らが応急処置を施したという。デンバーは当初東京・晴海埠頭で訓練に参加する予定だったが、同埠頭に向けて航行中に機関トラブルが発生。このため、急きょ横須賀基地に寄港し、訓練は同基地で実施された。
一方、臨海地区では、災害時の防災拠点として7月に開園した有明の丘・東京臨海広域防災公園で、ヘリコプターや船などを使って緊急支援物資を搬送する訓練が行われた。米軍のヘリコプターが、立川市などの基地周辺自治体からの物資を積んで横田基地や横須賀基地から飛来。東京港の多目的ふ頭に接岸した米海軍の舟艇(おそらくLCAC)からの物資も集積され、トラック協会のトラックで文京区に運ばれた。
以上のような内容だった東京都総合防災訓練。特徴としては、@大学の初使用、生徒の強制動員、A自衛隊の規模は縮小、B住民だけでの救出訓練の拡大、C米軍と民間との協力強化という点だろう。自助・共助=防災機関は来ない、連携=軍民協力という有事対策としての防災訓練の構造がよりはっきりした訓練だった。
反対闘争は、早朝からの監視行動に続いて、訓練進行中の中でのデモ行進が初めて実現し、その後の集会も合わせて、のべ100人が参加した。訓練参加者に直接、抗議の声を届けられたことは貴重な収穫であった。9月5日には、立川市の防災訓練も大山小で行われる。当日は、抗議情宣を行うので、こちらへの参加も呼びかけたい。昨年に続き自衛隊が正式参加する。
まだまだ暑さが続くが、残暑の中でもともに闘おう!