7月17日の「横田にも辺野古にも普天間にも基地はいらない7・17横田行動」の参加は約90名だった。この間、沖縄普天間問題で防衛省・首相官邸への行動は頻繁にあっても、米軍基地やアメリカ大使館への行動は見なかった(沖縄現地除く)と思う。安保体制を問うことは私たちの生活の目前にある基地や軍隊の存在を問うことでもある。であるならば、この日のように基地に直接向かう行動ももっと必要だ。三多摩にある米軍の拠点、横田基地に向かったこの日の行動意義は大きい。
「日米安保と米軍再編」という講演が最初に行われ、講師は軍事評論家の前田哲男さん。過去の米軍再編の動きなどを解説しつつ、現在の再編は第二次関東計画とも言える動きに匹敵すると指摘。その中で「日米共同運用、自衛隊の統合化がはかられている。さらに北朝鮮脅威論を主張し中国の軍拡をもあおりながら、防衛予算の拡大などを行う動きもある。」とアジアでの軍事的緊張を高める動きの危険性を指摘した。
また、鳩山民主党政権は、当初日米関係の見直しを図ろうとしたが、様々な抵抗勢力の前に挫折。菅政権はもはや日米関係の見直しなどという視点は一切持たず、従来の従属的日米関係の引き継ぎ路線だという。もはや安保については政権交代の意味がなくなっていると指摘した。
普天間基地の問題は沖縄だけの問題ではない。ここ横田基地にも府中の航空総隊が移転してくる予定だ(計画そのものは遅れている)。その詳細な内容はまだ見えない部分があるが、ミサイル防衛体制の強化を目指してより米軍と自衛隊の緊密な関係がはかられることは間違いない。だが、選挙が終わると安保問題については、多くの人が関心を失ってしまっているのが現状だ。
質疑、カンパアピール後は各地からの発言。沖縄一坪反戦地主会関東ブロックからは上原成信さんが発言した。83歳になられたそうだが、まだまだお元気そうだ。しかし、若い者を育成するためにはいつまでも年寄りが出ずっぱりではだめだそうで、80歳で第一線を引退したという。これからも関東ブロックの顔としてあちこちに出てきてほしいものだ。
続いて辺野古実の木村さん、横田基地被害をなくす会の塚本さん、地元福生の遠藤洋一さんからもアピールがあり、座間の「基地ストップからバスストップの会」の原順子さんのアピール代読後、この日の申し入れを集会決議として採択。デモへ出発した。
デモでは巨大なジュゴン風船が三つも登場した。他に発泡スチロールやパネルで作成したPAC3ミサイルの模型もある。楽器付きのデモは人の目を引く。晴れて暑い中、一六号線を第二ゲートに向かうが、道路沿いの土産物屋やレストランからも何事かと出てくる人々多数。
第二ゲート前では電動の巨大な門はしっかり閉められたままで基地側は一切対応の姿勢を見せない。結局怒りを込めて申し入れをトラメガで読み上げてゲート前での行動は終了。福生駅近くの公園でデモは解散した。
基地がある限り騒音も墜落事故もなくならない。沖縄だけの問題ではないのだ。参院選で安保と基地問題をちゃんと訴えた候補者は非常に少なかった。私たちは基地の存在そのものを問い続け、これからもこの横田デモを続けていこう。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
夏場は戦争と、基地や治安管理体制などを問う様々な催しがある。防災の問題は実は治安管理と戦争体制構築を問う問題だが、東京都防災訓練を問う7・23実行委結成集会の報告は四面記事を参照してほしい。
市民のひろば・憲法の会では、8月7日の2時から立川柴崎学習館において、映画「どうするアンポ―日米安保と私たちの未来」の上映を行う。オマケで砂川や三池・安保闘争の懐かしいニュース映画上映もあるが、懐古趣味で行う上映会ではない。過去の闘いと今の安保体制強化を問いながら、私たちを取り巻く世界を考える催しである。
新たな戦争体制構築を許さない闘いが今問われている。6・19反安保集会にはグアムの仲間も参加していた。過去の運動にも学びつつ、こうした新たな仲間とグローバルな反安保の運動を構築していこう。