テント村通信アーカイブ



韓国軍艦沈没を考える
どこにも基地はいらない!7・17横田行動へ!
(2010年7月号掲載)




哨戒艦「天安」沈没


   やはり軍事政権を倒した人々だ、と素直に思った。六月二日の韓国統一地方選。事前の予想に反して、「南北緊張回避」を訴えた野党が勝利した。

 三月におきた韓国軍船「天安(チョナン)」沈没を受けて、政府は選挙直前に「北朝鮮の攻撃」とする調査結果をまとめた。四〇人を超す死者が出た凄惨な事件。李大統領は、ソウルの戦争博物館で「国民の安保意識も、もっと頑丈にしなければいけません」と述べた。

 韓国政府は、外交でも積極的だった。日本政府からは、鳩山前総理の「韓国政府の対応を全面的に支持」との約束を取り付け、中国に対しても国連安保理での北朝鮮制裁に協力を要請している。前政権から引き継いできた南北交流事業などの中止も検討。「対北強硬策一色」を政府は演出した。北朝鮮の政府系放送も、「戦争前夜」や「ソウルを火の海に」などの好戦的プロパガンダを繰り返して対抗した。

 しかし、それでも韓国与党は負けた。軍の秘密主義、情報隠蔽や、遺族への警察の秘密尾行なども問題になった。乗艦していた七人の将校は全員救助され、若い徴兵兵士に死者がでていることも指摘された。政府と軍が「国家保安」を口にするとき、何が失われるかを知り抜いている人々の国であると思う。軍事政権を生き抜き、ついに倒した韓国市民の政治感覚は、東アジアの平和を実現する上で最大の財産の一つであるだろう。

 もちろん事件の真相は明らかにしなくてはならない。事故に近い偶発的な事態から、政権レベルで周到に計算された攻撃まで、北朝鮮軍による攻撃の可能性も十分にある。

 しかし北朝鮮政府が「関与していない」と言っている以上、「北朝鮮軍による攻撃」を断定するのは早すぎる。事件の調査も韓国軍と同盟国が行ったのみで、これでは最低限の公平性が保たれているかも疑わしい。軍事的緊張を高めるだけの動きには、反対していこう。


新政権の軍事政策は


 哨戒艦沈没事件を最悪のやり方で利用しようとしたのが日本政府だ。米海兵隊普天間基地の移設をめぐって、「不測の事態に対して、沖縄に海兵隊はやはり必要」という世論作りに利用しようとした。

 6月21日からは、沖縄周辺海域で日米豪3ヶ国の海上訓練を実施。米海軍は横須賀の原子力空母や潜水艦も参加、海上自衛隊も七隻の戦闘艦を参加させる一大訓練。北朝鮮けん制の目的もあると思われる。

 新総理になった菅首相は所信表明演説で、「辺野古への新基地建設推進」「日米同盟は、日本の防衛のみならず、アジア・太平洋の共有財産」などと述べ、相変わらずの姿勢を見せている。米軍基地の維持強化、米軍・自衛隊の一体化などの姿勢は、「市民運動出身」であろうと変わる事はないようだ。

 さらに先日発表された参議院選挙むけのマニフェストでは、民主党は「日米同盟を深化」「海賊対策は自衛隊の派兵を継続」「武器輸出禁止三原則の見直し」などを主張した。昨年の衆院選では、「対米従属からの脱却」や「米軍再編見直し」を訴えていたことからは大きな後退だ。


7・17横田行動へ


 沖縄側も新日米合意の撤回を求め続けている。すでに県知事が「遺憾」を発表。県内自治体も合意撤回にむけて、次々と意見書などが採択されている。

 こうした米軍基地反対の声を三多摩でも上げていこうと、7月17日午後2時から福生市民会館で「普天間にも辺野古にも横田にも基地はいらない!7・17横田行動」が行われる。集会の講師は軍事評論家の前田哲男さん。「日米安保と米軍再編」というタイトルで、現在の基地問題の背景にある米軍再編をトータルに語ってもらう。

 集会後は横田基地へのデモ。在日米軍司令部がある横田基地へ、「米軍基地もういらない」の声を直接ぶつけていくのが目的だ。横田でも、航空自衛隊の移転準備が進み、日米共同利用への布石が着々と打たれている。沖縄にも、東京にも、もちろん基地はいらない!のだ。詳細はスケジュール欄を参照ください!



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