3月29日、国公法弾圧堀越事件の裁判で、東京高裁は、画期的な逆転無罪判決を下した。立川反戦ビラ弾圧からはじまる一連のビラ弾圧事件として、私たちテント村も連携して闘ってきた。今回の逆転無罪判決獲得に際し、堀越さんはじめ弁護団、支援者の皆さんのこれまでの七年間にもわたる闘いに心から敬意を表したい。
判決直後であり、まだ精確な評価はできないが、報道によれば判決内容も画期的な内容となった。今回、東京高裁は判決で、国家公務員法と人事院規則自体は合憲と判断したものの、「政党機関紙配布が行政の中立的運営を侵害するとは考えられず、罰則適用は国家公務員の政治活動の自由に必要限度を超えた制約を加えるもので、表現の自由を定めた憲法に違反する」と明確に判断した。
また、国家公務員の政治的行為について「最高裁判決(猿払判決)以降、国民は許容的になっており、刑事罰の当否を含め再検討されるべきだ」とさらに踏み込んだ認識をも示した。「被告は特定政党を積極支援し、政治的中立性を著しく損ねた」として罰金10万円、執行猶予二年を言い渡した一審判決とは雲泥の差だ。
裁判闘争の中では、公安警察による堀越さんへの尾行・監視の様子を公安自身が収めたビデオが史上初めて法廷で上映されるなど、裁判闘争も画期的であった。
今回の判決が、宇治橋眞一さんが被告である世田谷国公法弾圧の裁判にも、良い影響をもたらすことを期待したい。検察には起訴した責任を反省し、上告を直ちに断念することを求める。
3月末までに政府方針をまとめるという期限を前に、普天間基地問題をめぐって政府の姿勢が二転三転している。北沢俊美防衛相は26日、仲井真弘多沖縄県知事と会談し、「分散移転」という案を示した。その後の報道によれば政府は、
@当面は同県名護市などの米軍キャンプ・シュワブ陸上部に代替施設を建設して機能移転を進め、
併せて鹿児島県徳之島などにも機能を分散、
A最終的には沖縄県うるま市のホワイトビーチ沖合に移設する
この二段階で米側や県などと調整しているという。しかし、同日夜の記者会見で鳩山首相は「極力県外に移設する道筋を考えたい」などと述べ、県外移設の可能性を示してもいる。
政府の姿勢ははっきりしないが、徐々に後退してきていることは確かだ。4月25日には県民大会が予定されている。沖縄は国外・県外移設でまとまっている。「分散移転」などというごまかしには誰もだまされない。政府がすべきなのは、日米関係そのものを再度検証し、軍事同盟が二国間関係の基礎となっている不正常な関係を打破することだ。機動性、柔軟性の高まった米軍にとって、実際には沖縄に海兵隊のヘリ部隊がいることは軍事的にはそれほど意味がないはずだ。
普天間問題は、米国にとって従順な日本という政治的な位置付けを維持するための手段でしかない。本当に「対等な日米関係」を構築するというのなら、普天間基地の無条件撤去こそがその第一歩となるはずだ。
高校無償化法案で朝鮮学校などを支給対象とするかという問題でも政府の対応は揺れている。3月25日、川端達夫文部科学相は、支給の判断基準について高校の課程に類するかどうかの検討の場を設け、夏ごろに結論を出すことを明らかにした。3月16日には、国連の人種差別撤廃委員会が、子供の教育に差別を持ち込むものであり、人種差別の懸念があるとして、改善するように勧告した。
拉致問題があり国交がない、教育内容が分からないなどというのは、朝鮮学校だけを差別する理由にはならない。そもそも日本国民と同じように在日朝鮮人から税金をとっている以上、同じように扱われるべきだ。植民地支配から100年に当たる今年、新たな差別が作り出されることを絶対に許してはならない。
5月3日の憲法記念日が近づいてきた。今年も市民のひろば・憲法の会の主催で、立川憲法集会が開かれる。今年は「やめよう日米安保、なくそう米軍基地」をテーマに、元那覇市議の高里鈴代さんが講演する。遠方からの招致ということもあり、例年以上に多くの方が賛同人になってくれるよう呼びかけたい。