鳩山政権が成立して、早3ヶ月が過ぎた。批判が出てもいまだに支持率が高く、一部ではフライパンになぞらえて、テフロン首相などとも呼ばれているそうだ。
そんな政権が抱える最大の懸案は、普天間基地の移設問題だ。岡田外相の嘉手納基地への統合案発言が出て一時は閣内不一致のような様相を呈した。先月14日に来日したオバマ大統領との会談でも、「過去の日米合意が前提」というオバマと「日米合意にはしばられない」という鳩山首相との違いが表面化した。
しかし、その後の日米合意の検証をするという閣僚級作業グループでは、早期合意という掛け声の下、辺野古案+「負担軽減策」(=訓練の一部県外移転や環境保護協定など)という「微修正」の方向で議論が収斂しているという報道もなされている。一方で、政権内では社民党がグアム、硫黄島も移転先として検証してほしいという立場を表明した。
鳩山政権は選挙前の姿勢からすると、かなりぐらついている。「最後は私が決める」を連呼している首相は時間稼ぎをして世論の動向をうかがっている。先月八日の県民大会では2万人もの人々が集まり、基地はもういらないという声をあげた。私たちとしては、政権がぐらついているいまこそ、普天間基地無条件撤去の声を強くし、政権を突き上げていく必要がある。
このように鳩山政権がぐらついているのは、対等な日米関係を標榜しているものの、日米安保を外交の基軸とするスタンスを維持しているからだ。先の日米首脳会談でも鳩山は日米同盟深化のための協議プロセスを開始したいと述べ、「拡大抑止、情報保全、ミサイル防衛、宇宙といった安全保障分野に限らず…防災、医療、保健、環境、教育といった分野でも…同盟関係を深化していきたい」と語った。拡大抑止とは、詳細は不明だが、報道によればいわゆる「核の傘」のことで、核戦力を保有する米軍と自衛隊の共同対処のことを意味するらしい。来年1月をめどに政府は核密約の存在を公式に認めることを表明したが、この拡大抑止と抱き合わせて密約を認めることで、持ち込みの公然化、もしくは非核三原則の解釈変更が行われるかもしれない。
オバマは来日時の演説で米国のアジアへの関与について「米国の製品を買ってくれる地域であり、この地域への輸出を増やすことが米国の雇用を増やすことにつながる」と本音ものぞかせた。このような日米安保につきあう姿勢を維持している以上、「対等な日米関係」などいつまでたってもやってこないだろう。
しかも、11月30日には、北朝鮮に出入りする船舶の臨検を行うための「貨物検査特別措置法案」が閣議決定され、衆院に提出された。自民党案から自衛隊関係の規定を削除しただけの法案で、北朝鮮への敵視を煽る政策であることには変わりない。事業仕分けで思いやり予算のうち1233億円を「見直し」と判定したが、PAC3や防衛装備費についてはなじまないとして「見送り」と判定したことも腰が引けている。従属した日米関係からの真の脱却を目指すのなら、本当はその根拠である基地と安保の撤去・破棄にこそ乗り出すべきなのだ。
オバマといえば、天皇に九〇度のおじぎをしたことも話題となった。即位20年奉祝式典では、多数の芸能人を動員、EXILE(エグザイル)のダンスがそうだったのかは疑わしいが、天皇は「楽しいひととき」と「お言葉」した。「日本は高齢化の進展と厳しい経済状況の中にあり、皆さんもさまざまな心配や苦労もあることと察しています」と宣った。それなら天皇自身を辞めてもらいたいが、経済危機下の大衆の苦悩が天皇制に回収されてしまうことの危険を私たちは訴えていく必要がある。今年も残りわずか、日米安保と天皇制に反対し続けよう!