テント村通信アーカイブ



政治の夏!選挙もあるが東京都総合防災訓練に反対しよう!
                  (09年8月号掲載)




 7月21日やっと衆議院が解散し、8月30日総選挙が行なわれることになった。

 しかし、自民党、民主党どっちが勝とうが、安保政策では基本的にはそう違わないというのが率直な印象だ。地位協定見直しはいいとしても、インド洋派兵については撤収させる方向としつつも、外交上の約束だからという理由ですぐには止められないと言ったり、非核三原則の「持ち込ませず」は現実的に対応した方がいいという鳩山の発言などはに大いに不安をいだく。

 政権交代というときに、私たちは93年の細川政権成立にいたる政界再編を想起せざるを得ない。あのときの政界再編は、冷戦終結を受け、財界の意向で保守二大政党制を作ろうとする小沢一郎ら自民党内の一派が仕掛けた策動だった。そこでは旧社会党など護憲勢力の解体・取り込みが大きな目的だったが、15年の歳月を経て見ると、それが成功したことが分かる。

 今度の政界再編の目的は、@いかに経済危機を短期で乗り切り、意匠を変えてこれまで構築した新自由主義体制を隠蔽しつつ存続させるか、A企業負担を抑えつつ社会保障制度を修繕し、内需拡大をテコに輸出攻勢に転ずるか、Bその際の海外における利権確保のために、政治的発言力とその背景となる軍事力をいかに強化するかという点だろう。その具体策が消費税増税と、海外派兵の拡大、防衛産業の育成である。

 これらの点では、自民党も民主党も基本的には大きな違いがなく、政権交代自体には何の意味もない。私たちは、戦争をしない、資本家でなく労働者の生活を守るという観点から、総選挙を注視していく必要がある。


政界再編の本質を見極めよう!

 

 そして、その総選挙の行なわれる8月30日には、東京都総合防災訓練が、調布市と世田谷区で実施される。会場は、調布市が調布基地跡地(味の素スタジアム隣空地)と仙川駅周辺、世田谷区が世田谷公園周辺と大道北記念公園だ。メイン会場は、調布基地跡地だが、今回の訓練の特徴は、23区と三多摩地区合同主催という点で、その象徴が区市連携訓練というものだ。具体的には、仙川駅の被災者を大道北記念公園で受け入れるという訓練である。


首都機能しか守らない防災訓練に反対しよう!


 昨今、防災体制が大きく変質してきている。05年九月中央防災会議は、それまでの「南関東地域直下の地震対策に関する大綱」を廃止し、「首都中枢機能の継続性確保」を柱とする「首都直下地震対策大綱」を決定した。そして、この大綱を踏まえ,06年4月には「同防災戦略」、「同応急対策活動要領」が決定された。さらに、08年12月の同会議幹事会においては「『応急対策活動要領』に基づく具体的な活動内容に係る計画」を申し合わせ、救助活動などに従事する警察、消防、自衛隊の「各部隊」の具体的な活動内容が計画されてもいる。

 その中では、立川基地などの「進出拠点」、物資を集積する「広域物資拠点」部隊進出・物資輸送のための「緊急輸送ルート」までが記載されている。これらの計画を見ると、関東での防災の主眼は、国会、中央省庁、都庁、大使館、日銀などの「政治、行政、経済中枢」といった「首都中枢機能」の維持という点にあることが分かる。

 これまでも私たちは、23区の訓練の際は都心への部隊進出が、三多摩の際は住民動員が主要な目的であると主張してきた。これらの計画を見て感じるのは、この批判が正しかったということと、三多摩の役割がより明確になったということだ。推測すると、有事の際、まず自衛隊・警察の部隊をいち早く都心に進入させる。その次に、都心にいる民間人を部隊活動の邪魔になるので三多摩に排除する、その受け入れを三多摩が担うのだ。三多摩の役割は部隊進出の支援と、都心の民間人の受け入れの二点だ。ここでは三多摩の住民の生命など二の次でしかない。

 7月30日、東京新聞は、陸自の再編計画を報道した。そこでは、実働部隊の最高司令部である陸自総隊、国際業務専門部隊である国際即応集団とともに、首都防衛集団を創設すると報じられた。自衛隊としても、名実ともに首都防衛に乗り出すというわけだ。

 防災訓練当日は、実行委員会による監視行動、デモ、集会が予定されている。ともに防災訓練に反対し、当日は選挙に行くなら反対闘争の後にしよう! 



テント村通信記事 メニューに戻る